「はこだてライナー」

 2016.03.10

 26日のダイヤ改正から運転をスタートする北海道新幹線のアクセス列車「はこだてライナー」、道南エリアで初めて通勤型の733系電車(3両編成)が投入されます。オールロングシート車で高い輸送能力を誇り、札幌通勤圏では主力車両となっています。

 「はこだてライナー」は快速タイプと各駅停車の2種類ありますが、「ライナー」を名乗っていながら各駅停車であるのは少々疑問です。例えば、函館本線小樽~岩見沢間の「いしかりライナー」が各駅停車だったらやはり疑問に思うはずです。また、「はこだてライナー」は1日16往復(32本)のうち下り6本、上り7本が快速タイプで、残り19本が各駅停車となっています。全列車新幹線と接続といっても速達効果は限定的という見方もできます。

 「はこだてライナー」の設定により、函館~新函館北斗間の普通列車は現行の21本から改正後は53本に増加します。これはアクセス列車運転開始に伴う普通列車の増発や、現行の函館~七飯間の普通列車が新函館北斗まで延長されるためです。

 函館発着の普通列車は現行の41本から57本に増加しますが、このうち下り3本が藤城線経由となるため、新幹線に乗り継ぐ場合は注意が必要です。また、改正後も下り1本で七飯行きの気動車運用があります。

 現在、JR北海道函館支社管内の普通列車は全て一般気動車が使用されています。1988年3月の青函トンネル開業から2002年12月までの間は50系客車の快速「海峡」が設定されていましたが、88年3月の江差線(津軽海峡線)電化開業から今日まで、基本的に普通列車は一般気動車で運行し、道南エリアではいわゆる架線下ディーゼルの状態が続いていました。

 アクセス列車用の電化事業は、当時、札幌延伸の同意に難色を示していた函館市の同意を得るための「見返り」でした。JRは電化事業を自社負担(当社の責任)で行い、アクセス列車用の733系1000番台を12両新製しました。12年6月に完成した札沼線電化事業は、国などから補助を受けたことを考えると、異例の設備投資であったことは確かです。

 電化事業を自社負担できるのであれば、日高本線や留萌本線、そして地方線区の安全投資も自社負担できるではないかと思うかもしれません。しかしそれは間違いであるといわれるでしょう。その理由は費用対効果にありますが、アクセス列車の費用対効果ではありません。札幌延伸の同意を得るためにかかる費用に対する効果です。

 函館本線函館~小樽間は将来経営分離されるので、JRが函館~新函館北斗間の地上設備や車両の維持管理をする必要はありません。電化事業の自社負担は大きいかもしれませんが、将来的には札幌延伸のメリットが多くあります。一方、地方線区の安全投資はJRによる経営を前提に進める必要があり、赤字線区の廃止・バス転換もそう簡単にはいきません。

 もしも、函館~新函館北斗間が並行在来線から除外されていれたなら、函館市から札幌延伸の同意を得る必要がないので、結果として函館本線五稜郭~新函館北斗間の電化は行われず、「はこだてライナー」の運転はなかったかもしれません。ある種、函館~小樽間が並行在来線に指定されたことで、「はこだてライナー」が走り始めるという見方もできます。



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Author:dieseltrain


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