夕張市、夕張支線の廃線を要請

 2016.08.14

 今日、夕張市が石勝線夕張支線の廃線をJR北海道に要請したことが話題となっています。

 JR北海道は経営状況が厳しいことから、経営の抜本的な見直しを進めており、今秋までにJR北海道で維持可能な線区と困難な線区を公表し、今秋以降、線区ごとに沿線自治体との話し合いを進める考えです。

 夕張支線は2015年度の輸送密度が1日118人となっており、留萌本線(留萌~増毛)、札沼線(医療大学~新十津川)に次いでワースト3を記録しています。JR北海道は輸送密度1日500人級の線区について、輸送に直接必要な費用も賄えないと説明しています。このため、夕張支線は維持することが困難な線区に指定される可能性が高くなっています。

 夕張市は「座して廃線を待つのではなく攻めの廃線」をコンセプトに、JR北海道とともに地域公共交通のモデルをつくると意気込んでいます。

 <夕張支線の廃線を要請>

 夕張市が夕張支線の廃線を要請した背景は、夕張支線の存続が極めて厳しいことにあります。仮に維持が困難な線区に指定された場合、夕張支線の現状を考えると、廃止・バス転換を含めた厳しい交渉となることは間違いありません。

 厳しい経営が続くJR北海道ですが、夕張市も財政難に苦しんでおり、あらゆるサービスが抑制されているほか、コンパクトシティ化を進めるため、19年度に市の複合施設や交通結節点の機能を清水沢地区に整備する計画があります。

 このため、夕張市が夕張支線の廃止を認める見返りとして、JR北海道から支援や協力を受けることで、地域再生の原動力にしたい思惑があります。夕張支線の廃止時期は、複合施設が完成・共用を開始する19年度中となる可能性があります。

 <影響は限定的という見方も>

 報道等では、夕張市の対応が他の沿線自治体にも影響を与える可能性があるという論調ですが、夕張支線の状況や夕張市が財政再建中という背景があるので、他の沿線自治体が夕張市のように廃線を提案することは、通常では考えられません。今回の対応は極めて異例であり、影響は限定的という見方もできます。

 「攻めの廃線」というコンセプトですが、今回の廃線の要請は、市長の「独断」であったことが明らかになっており、夕張市民や議会の理解は得られていません。しかしながら、この順序が逆であっても、夕張支線の現状を考えると、抜本的な見直しは避けられないことも確かです。

 JR北海道は線区ごとに沿線自治体と協議を行う際、複数の選択肢を提案し、それを議論したうえで最終的に線区の存廃を判断することになります。ですが、線区の維持には沿線自治体からの財政負担が要求されることになり、その一つに上下分離方式がありますが、夕張市は財政負担を行う余裕がありません。

 このため、散々議論したうえで結局、廃止・バス転換となれば、まさに「座して廃線を待つ」ことになり、それならば、少しでも有利な条件を引き出そうというのは理解できます。

 ですが、夕張支線の廃線要請は、夕張市が進める財政再建やコンパクトシティ化の時期に偶然一致していたことで実現したのであり、今秋以降に設置される予定の線区ごとの協議会でも、廃止ありきの交渉となっては困ります。夕張支線の廃止も決まったわけではありません。

 この手の問題でたびたび基準として登場する国鉄再建法は、当時の国鉄の経営を抜本的に見直すため制定した法律でありますが、この法律が結果的に、国鉄改革後も有力な基準として存在するのは、皮肉といわざるを得ません。



広告


広告

広告

プロフィール

Author:dieseltrain


-

-