JR北海道の見直し対象線区

 2016.11.19

 18日、JR北海道の見直し対象線区が公表されました。道内の13線区1237.2kmが「当社単独では維持することが困難な線区」に指定され、今後、バス転換や上下分離方式の導入などが検討されることになります。

 対象線区のうち5線区が「幹線」、8線区が「地方交通線」となっていますが、1980年度の輸送密度を見ると地方交通線の8線区全てが国鉄再建法の転換対象となる1日4000人未満でした。

 また、幹線でも石勝線新夕張~夕張間(夕張支線)、根室本線釧路~根室間(花咲線)、室蘭本線沼ノ端~岩見沢間の3線区が1日4000人未満でした。

 -国鉄再建法の抜け道-

 国鉄末期には道内の約半分が赤字線区となっており、その線区をJR北海道が承継したことになりますが、なぜ転換対象を外れ、今日まで存続できたのでしょうか。それは国鉄再建法の「抜け道」にあると思います。

 当時、地方交通線のうち、輸送密度1日4000人未満の宗谷本線、石北本線、富良野線、札沼線は「ピーク時輸送量」、釧網本線、留萌本線、日高本線は「平均乗車距離」の特例によって、転換対象から除外されました。

 また、転換対象の選定は「線区」ではなく「路線」ごとに決められたため、仮に一部線区が「特定地方交通線」並みの輸送密度しかなくても、幹線や選定基準を上回る路線の一部であれば、転換を免れました。

 石勝線については国鉄再建法の施行以降に開業した路線ですが、調べたところ、夕張線時代の基準が適用されて幹線となったそうです。しかし、夕張線が幹線となったのは、貨物輸送密度が1日4000t以上あったためで、輸送密度は幹線の基準にはありませんでした。夕張線の一部だった夕張支線は、早ければ2019年春の廃止が決まりました。

 JR北海道の見直し対象線区は、国鉄時代から転換対象となる可能性があった線区であり、最近赤字線区になったのではありません。残念ながら国鉄再建法の選定基準に助けられたといえます。

 -不当に高い運賃-

 国鉄再建法は国鉄のための法律にもかかわらず、例えば現在も運賃の計算では、当時の基準が適用されています。道内の今日の状況を見ると、基準の形骸化は否めません。幹線で輸送密度が低い線区は割安。逆に地方交通線で輸送密度が高い線区は割高の運賃を払っていることになります。

 例えば札沼線札幌~石狩当別間(27.5km)を利用する場合、運賃は片道640円となりますが、幹線の運賃を適用した場合は540円となります。わずか100円の差とはいえますが、幹線級の線区で不当に高い運賃を払っているといえます。

 JR北海道の経営状況を考えると、輸送密度が高い地方交通線の運賃値下げが難しいかもしれません。しかし、少なくとも幹線の赤字線区においては、地方交通線並みの運賃値上げが必要ではないでしょうか。

 -反論の余地がない-

 JR北海道がこのような状況となったのは、道内の人口減少や札幌一極集中の加速。それに伴う鉄道運輸収入の減少や、低金利時代による経営安定基金の運用益の減少が背景にあります。さらに国鉄から承継した鉄道施設や車両が老朽化し、修繕費や設備投資に多くの経費がかかるようになりました。

 今回の公表をもって、線区の廃止や上下分離方式が決定したわけではありませんが、各線区の詳細な資料を見ると、反論の余地がないようにも見えました。



広告


広告

お知らせ

いつもごらんいただきまして、ありがとうございます。

このほど、60万アクセスを達成しました。

今後も当ブログをよろしくお願いします。

広告

プロフィール

Author:dieseltrain


-

-