2013北海道の鉄道この1年

 2013年もあと6日で終わります。今年は北海道の鉄道にとって、大きな転換期を迎えた年であったと思います。

 道内では在来線を走る私鉄が1社もなく、北海道旅客鉄道(JR北海道)が唯一の「私鉄」であり、JRに乗ることは、列車に乗ると同義です。毎日の通勤・通学の足、そして旅行やビジネスなどJRの利用は欠かせません。

 JRは、2011年5月の石勝線事故を受けて、昨年11月に「安全基本計画」を策定しました。そして、会社の原点に立ち返り、お客様の安全を最優先とする企業に生まれ変わるはずでした。

 しかしながら、JRは今年、利用者の信頼を大きく失うトラブルや不祥事が相次ぎ、「安全基本計画」は形骸化しつつありました。

 -年始からトラブル-

 昨年末から1月上旬にかけて、特急「スーパーおおぞら」(キハ283系気動車)でドアトラブルが頻発し、そのうち1月7日に根室本線常豊信号場~上厚内間で発生した1件は、重大インシデントに指定されました。この案件は国土交通省運輸安全委員会が現在調査中です。

 当時、石勝線事故による車両不足で、2011年7月から帯広・釧路方面の特急列車で編成変更が続いていましたが、この件で車両の緊急点検や修理が行われたため、一時「スーパーおおぞら」の一部が4両編成で走る事態となりました。

 2月の雪まつり期間には、昨夏運転された「ヌプリ号」が、冬季バージョンの「冬のヌプリ号」として運転されましたが、最終日にお座敷列車へ車両変更が行われました。残念ながら、来年の運転はありません。

 -トラブル頻発の前兆-

 4月8日、函館本線八雲駅構内で「北斗20号」のエンジン床下から出火するトラブルが発生し、「スライジングブロック」と呼ばれるエンジン部品の破損が確認されました。JRは部品の劣化が原因として、同型エンジンを搭載する全車両を対象とする緊急の部品交換を実施しました。

 4月26日には、江差線泉沢~釜谷間で、日本貨物鉄道(JR貨物)が運行する貨物列車の脱線事故が発生し、この区間では、5か月後の9月11日にも脱線事故が発生しました。この2件は安全委が調査中です。

 高速電車(地下鉄)と路面電車(市電)を運行する札幌市交通局では、4月1日に地下鉄南北線のワンマン化を開始し、5月5日には新型の低床車両「A1200形」がデビューしました。市電は2015年春に狸小路(仮称)停留所を新設し、ループ化される予定です。新型車両の先行投入で、ループ化に向けて本格始動しました。

 -特急気動車の信頼が完全に失われた-

 7月6日、函館本線山崎駅構内で「北斗14号」の4号車床下から出火し、車体側面を一部焼損させるトラブルが発生しました。これも「スライジングブロック」の破損が関係したトラブルでした。安全委は重大インシデントに指定し、現在調査中です。

 このトラブルと4月の「北斗」のエンジントラブルは、似たようなケースで発生しており、その後、昨年9月にも「北斗」で同様のケースで発生していたことが判明しました。

 JRは「北斗」で続いた重大トラブルを受けて、トラブルが疑われる車両と同型エンジンを搭載する全車両を対象とした使用停止措置に踏み切りました。「北斗」4往復及び特急「サロベツ」1往復の運休が決まり、夏季・お盆期間の多客期を目前にした運休でした。

 「北斗」のトラブルから9日後の7月15日には、「スーパーおおぞら」の配電盤から出火するトラブルが発生し、この影響で「スーパーおおぞら」2往復の運休も追加されました。道内の主要都市間を結ぶ特急列車は、平常通りの運転ができなくなり、多客期の輸送に大きく影響しました。

 -JRも信頼を失う-

 今夏は荒天が多く、道南方面では局地的な大雨などが続き、夏季輸送にも影響が出ました。8月17日には函館本線八雲~山越間で、JR貨物が運行する貨物列車の脱線事故が発生し、函館方面の減便に続いて大きな痛手となりました。

 貨物列車の脱線事故は、翌月の9月19日に函館本線大沼駅構内でも発生しました。この事故はその後発覚した問題によって、大きくクローズアップされていきました。貨物列車の脱線原因は安全委が調査中です。

 JRの相次ぐトラブルを受けて国交省は、この事故を対象とした特別保安監査を実施し、調査していました。ところが、事故現場を含めた道内各地で「レールの幅が基準値を超えたまま放置されていた」ことが発覚しました。

 レール異常の放置箇所は「副本線」を中心に260箇所以上となり、その後「分岐器」約2900箇所を調べていなかったこともわかりました。レール異常の放置問題はかなり根深いものでした。

 9月7日には札幌運転所構内で、運転士がディーゼル機関車のATS装置を破壊するという前代未聞の不祥事もありました。

 -減速減便のダイヤ改正-

 11月1日から札幌~函館、釧路、旭川間の特急列車で減速減便となるダイヤ改正が行われました。札幌~函館間は2往復、札幌~釧路、旭川間はそれぞれ1往復減便し、最高速度も130キロから札幌~函館、旭川間が120キロ、札幌~釧路間は110キロに減速しました。

 減速減便のダイヤ改正は、車両トラブルが続いていたため、メンテナンス強化と予備車両の確保が柱でした。JRは年末年始や今冬の安全対策として、7億円の設備投資を行うことになっています。

 この日からJR北海道に派遣された東日本旅客鉄道(JR東日本)の社員8人が、担当する各部署で業務を開始し、JR北海道の信頼回復に向けた技術指導などを行っています。

 JRの高速化によって、道内主要都市間は日帰りの移動が可能になりました。しかしながら、JRは一連のトラブルを受けて、会社発足以来続けてきた高速化の方針を転換しました。

 -本当に生まれ変われるか-

 国交省の特別保安監査は、当初、期限を設けて行われてきましたが、国交省は監査期限を設けずに徹底した調査を行うことにしました。これにより、監査の越年が決まりました。

 国交省はJRに対し、10月に2回、11月に1回の計3回の改善指示を発出しました。年間で複数の行政指導が行われるのは異例です。国交省は今後も無期限の特別保安監査を実施し、厳正に対処する方針です。

 JRは11月からメンテナンス体制強化のため、函館、釧路、旭川方面で減速減便を行っていますが、来年3月からは、稚内方面でも減速運転がスタートします。

 来年2014年は、JRの今後を左右する1年となるのではないでしょうか。そして今度こそ、安全・安定輸送のJR北海道が復活することを期待しています。




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